キッカーでの「バックサイド180(BS180)」といえば、スノーボードが好きな人なら、誰もが憧れるトリックではないでしょうか。
スタイルのバリエーションも多く、ライダーごとに、かなり個性の出るトリックです。
ただ、このBS180というトリックは、進行方向から目線を外し、進行方向が全く見えない状態で飛んでいくため、かなりの勇気を必要とします。
また、着地(ランディング)も非常に見づらいため、慣れないと確実に立てません。
つまり、いきなりキッカーで練習すると、確実にやられるトリックと言えます。
場合によっては、2度と「BS180」がチャレンジができない「心」になってしまいます。
僕の周りでも、BS180の抜けで、エッジが引っ掛かり、結構なやられかたをして、バックサイドスピンを封印した人を知っています。(笑)
ですので、BS180については、基本的なことからしっかりと積み上げていったほうが、結果的に、上達が早いと思います。
無駄な、やられかたをすることもないですし。
また、BS180をやり込んでおくことで、そこから先のスピントリック(BS360など)が断然楽になります。
基本的に、BSスピンは、ライン取りから、抜けが全く一緒ですので。
違いは、先行動作と目線ぐらいかと思います。
そこでこの記事では、「BS180」をキッカーで放つ前に、徹底してやっておいたほうが良いことについて、順を追ってご紹介します。
これから、BS180にチャレンジしようと思っている、もしくは、BS180がなかなか上手くならないという人に読んでいただきたい記事です。
なお、この記事でご紹介させていただくコツ(ポイント)は、僕が、BS180でやられまくり、試行錯誤を繰り返し、たどり着いたものです。
つまり、完全に「おれマニュアル」です。(笑)
「BS180なんか、簡単すぎて、コツなんかいらないよ」という、天才肌のライダーさんには、全く必要のないものとなっておりますので、ご理解ください。
それでは、超凡人スノーボーダーによる「BS180の始めかた」の始まりです。
僕の経験が、あなたの「BS180」を進化させる、きっかけになれば嬉しいです。
BS180ってどんなトリック?
一応、説明しておきますね。
レギュラースタンスの場合
時計回りに、空中でボードを半回転(180度)させるトリックです。
グーフィースタンスの場合
反時計回りに、空中でボードを半回転(180度)させるトリックです。
BS180にチャレンジする前に
あたりまえのことですが最低限、次の3つは、やり込んでおいください。
- レギュラースタンスのフリーライディング
- レギュラースタンスのオーリー
- スイッチスタンスのフリーライディング
はっきり言って、この3つができないと、スピンはできません。
なぜなら、レギュラーでのフリーライディングとオーリーができないと、スピンの踏み切りが安定しません。
つまり、何度練習しても、完成度は上がらないということです。
また、スピンした後は、スイッチスタンスになりますので、スピンは成功したけど、スイッチで滑れないというのは、スピンする意味がありません。
もし、「オーリー」や「スイッチのフリーライディング」に不安があるなら、こちらの記事で復習をお願いします。(笑)
⇒オフトレで「スイッチライディング」をマスターして、スノーボードを倍楽しむ!!
ただ、「スイッチで滑れないけど、どうしてもスピンがやりたいんだよ~」というあなたは、BS180を通り越して、BS360までいっちゃうしかないです。
僕は、あまりオススメしませんが・・・
まずは、フラットな場所でボードを回してみよう
BS180の練習を始めるなら、まずは、滑りながらではなく、フラットな場所で止まった状態でボードを回してみましょう。
この練習をして、ボードを回転させる感覚を体に覚えさせてください。
やり方は、こんな感じです。
膝を落とし、前肩を少し開いた状態から、真上に伸び上がります。
そのとき、目線と一緒に前肩を後ろに送ります。
フラットのBS180については、オーリーを意識せず、両足ジャンプでOKです。
着地は、しっかりと膝を落として、着地しましょう。
180度(半回転)で着地できるよう、何度も練習しましょう。
なお、着地の際は、ボードをフラット(エッジのかかっていない状態)にすることを意識してください。
また、常に、体の位置(重心)がボードの中心になるように意識してください。
滑りながらのBS180にチャレンジ
次は、滑りながら「BS180」をやってみましょう。
滑りながらになると、一気に恐怖心と難易度が上がります。
でも、順を追って練習することで、恐怖心を最小限に抑え、スピンすることができます。
ぜひ、試してみてください。
1.フロントサイドターンの途中でスピンして止まる
まずは、ゆっくりしたスピードで、フロントサイドターンを行い、ターンの途中でBS180をします。
そして、スピンしたら、そのまま止まります。
滑りながらのBS180は、「前足4:後ろ足6」の重心を意識し、低い姿勢から軽く後ろ足で立ち上がるように真上に飛び上がってください。
そして、フラットでのBS180と同じように、目線と前肩を後ろに送り、ボードを半回転させてください。
フロントサイドターンの途中でBS180を行うことで、トゥーエッジがしっかりかかり、安心してボードを回すことができます。
やってみると、結構簡単にボードを回るはずです。
スピン後の着地は、ヒールエッジを意識してください。
最初のうちは、ヒールエッジでの着地の方が、怖くありません。
2.フロントサイドターンの途中でスピンして、そのままターンする(ヒールエッジ着地)
1のときは、スピンした後、止まりましたが、次は、そのままターンしてみましょう。
着地に関しては、1同様にヒールエッジで着地し、滑りが安定してから、トゥーエッジに切り替え、ターンを行います。
3.フロントサイドターンの途中でスピンして、そのままターンする(トゥーエッジ着地)
見てください。
ヒールエッジを表す、青い線がありません。
そうです、次の練習法は、スピン後の着地が、トゥーエッジになります。
つまり、トゥーエッジで踏み切り、トゥーエッジで着地するということです。
そして、そのままトゥーエッジで、ターンを続けます。
「なぜ、トゥーエッジでの着地を意識するのか?」についてですが、回り過ぎの防止と、回転が足りなかったときの安全策です。
BS180の場合、トゥーエッジの着地をすることで、着地後にドライブしてしまうことを防ぐことができます。
また、回転が足りなかったときは、トゥーエッジで着地することで、足りない回転を、ドライブで補うことができます。
ちなみに、回転が足りない状態で、ヒールエッジ着地をしてしまうと、強烈な「逆エッジ」となり、ダメージがすごいです。(心にまで響きます)
ですので、BS180は、トゥーエッジで飛び(踏み切り)、トゥーエッジで着地することを意識してください。
これは、キッカーにおいても同様です。
キッカーでのBS180の完成度を上げるためにも、徹底して練習しておいてください。
4.フロントサイドターンの角度を減らしていく
3の練習で、トゥーエッジ着地に慣れてきたら、フロントサイドターンの角度を少しづつ、ゆるくしていきます。
そして、最終的には、進行方向に対し、ボードが真っ直ぐな状態で「BS180」を行えるようにしましょう。
ただ、ボードは真っ直ぐですが、踏み切りは、トゥーエッジで行います。
ですので、トゥーエッジを踏みながら、ボードを真っ直ぐできるよう、ライン取りも含め、色々試してください。(個人のクセが、かなり影響すると思いますので)
イメージとしては、ゆるいバックサイドターンから、フロントサイドターンに切り替え、ボードを真っ直ぐに保つようにすることです。
なお、トゥーエッジを強く踏みすぎるとターンが始まってしまうため、ボードをフラットに踏みながらもトゥーエッジを強めに踏む「フラットゥー」を意識してください。
ボードを真っ直ぐにして、スピンできるようになったら、スピードを少しづつ上げていきましょう。
ある程度のスピードで、BS180ができないと、キッカーに入ることはできません。
グラトリのBS180のイメージと細かなポイント
こんな感じでやってください。
フロントサイドターンの途中で、低い姿勢をつくります。(トゥーエッジを意識)
後ろ足で軽くオーリーをし、目線と前肩を後ろに送り、しっかり伸び上がります。
目線は、後ろ足のつま先あたりを見てください。
空中でボードを回します。
目線は、踏み切った所(雪面)を見続けるようにしてください。
そうすることで、下半身の回転に対し、上半身がひねられ、回り過ぎを抑えることができます。
無理に、進行方向を見ようとしないことが、ポイントです。
着地したら、滑りが安定するまで、踏み切った所(雪面)を見続け、その後、ゆっくりと進行方向へ目線を送ってください。(少しのあいだ、後ろを見ながら滑るイメージです)
何度も言いますが、目線をすぐに進行方向に向けないことが、重要なポイントです。
ここまでできたら、後は、ウェーブやギャップを使って、BS180をやりまくりましょう。
グラトリと違い、滞空時間が長くなりますので「目線の送りかた」「ボードを回す速度」「着地のタイミング」など、色々と試してみてください。
最初は、着地で苦労するかもしれませんが、慣れてくると、着地が合わせられるようになります。
根気強くやってみてください。
これで、キッカーに入るための、BS180の準備は完璧(?)です。
BS180を使った「リバース・ターン」
ちょっと番外編です。
フロントサイドターンでのBS180を練習しておくことで、そのまま「リバース・ターン」というトリックに発展させることができます。
こんな感じです。
低い姿勢でフロントサイドターン(トゥーエッジ強め)を行います。
軽くBSスピンを行い、120度ぐらい回します。
しっかり、トゥーエッジで着地し、着地と同時に、スイッチのフロントサイドターンを始めます。
このとき、目線は、後ろ向きのままです。
トゥーエッジを強く踏み、体を倒していきます。
そのまま、滑り続け、レギュラースタンスまで戻します。
なお、カーヴィングターンのテクニックは、別途、習得してくださいね。(笑)
【関連記事】
「リバース・ターン」については、こちらの記事で動画を紹介しております。
⇒谷口尊人さんのリバースターン【近年で一番見た、スノーボード動画の紹介】
まとめ
ここで、キッカーに入るための「BS180」の練習手順をまとめておきます。
- 止まった状態でボードを回してみる
- フロントサイドターンの途中で、ボードを回し、ヒールエッジで着地する
- フロントサイドターンの途中で、ボードを回し、トゥーエッジで着地する
- フロントサイドターンの角度を少しづつ減らしていき、最終的には、真っ直ぐな状態でスピンできるようにする
- ウェーブやギャップで「BS180」をやりまくる
こうやって並べてみると、「キッカーでのBS180」まで道のりが長く感じますが、普段のフリーライディングの中に取り入れればいいだけなので、ぜんぜん楽しみながら練習できると思います。
ちなみに、僕は「アホ」なので、BS180(グラトリ)ばっかり、1日中練習していたときがあります。
オーリーの強さを変えてみたり、レイトで回してみたり、着地でドライブさせてみたり。
さすがに、その日は100%近い確率で「バシッ」っと、立てるようになりましたよ。(笑)
ただ、日にちが空くと、また完成度が下がっちゃうんですよね・・・
完成度を上げるためには、ひたすらやり続けるしかないと思います。
ぜひ、グラトリのBS180を極めて、キッカーでのBS180にチャレンジしてみましょう。
キッカーでのBS180が立てたときの、気持ち良さ(嬉しさ)はハンパないですよ。
【関連記事】
「バックサイド180 おれマニュアル(キッカー編)」はこちらの記事です。
⇒バックサイド180完全マニュアル【これでできなきゃB1は諦めろ!?】
おわりに
スピントリックを練習するなら、このボードがオススメ!!
コンベックスソールで、無駄にエッジが引っ掛かることがありません。(逆エッジになりにくい)
特に、キッカーでの抜けに力を発揮します。
ぜひ、お試しを!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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